がんばれ! ミルキー

 血液検査異常なし。糖尿病も大丈夫。肝機能も心配なし。腎臓の働きがちょっと気になる程度。体温は38度2分で平熱…!?

 これは、我が家の愛猫ミルキーの検査結果です。ミルキーは13歳、人間でいえば70歳ぐらいになるでしょうか。このところ急激に痩せてしまいました。去年の9月に3.5kgあった体重がここ数ヶ月の間に2.1kgにまで減ってしまいました。体重が3分2以下になってしまったのですから、只事ではありません。

 動物病院に連れて行きました。診察台の上に乗せられ、足に注射をして血液を採取。もともと小柄な猫なのに、痩せて足が細くなっているので、なかなか針が刺さりません。いやがって暴れるミルキーをスタッフが押さえつけます。どこにそんな力があるのかと思うほど強い力で逃れようとするミルキーに、スタッフの女性が、
「ほらほら、ミルキーちゃん、ママだよ。ママがいるから大丈夫だよ!」と、
言うではありませんか! ママって…誰? 一瞬悩んだ後、私のことを言っているのだと気がつきました。そこで私も必死になってミルキーの名前を呼びました。

 これといって悪いところはないものの、その後、ますますエサを食べなくなり、粗相をするようになってしまいました。朝起きると、部屋の隅のほうに、なにやら黒っぽいものが。時には下痢も。便秘と下痢を繰り返し、お尻が汚れていることもしばしば。「ボケちゃったのかもしれない!」そんな不安がよぎります。猫にパンツをはかせるわけにもいかず、私は嫌がるミルキーのお尻を洗っています。まさか、猫の介護をすることになるなんて……!

 近頃では、背骨や肋骨がくっきり分かるほど痩せてしまい、抱きあげると骨が手に当たり痛々しいほどです。でも、食欲はあるのです。私の足元に擦り寄り、お腹がすいた〜と小さな声で鳴き私をエサのあるところまで連れて行きます。しゃがんで優しく声をかけると、安心するのかお皿に顔を近づけるのですが、食べられず、じっと私の顔を見ています。スプーンで口元に持っていくと少し食べてくれることもあります。

 私は講演で「食べてから出すまでは自分の責任。誰かに代わってもらうことはできないから、何をどう食べたらいいか、そして、気持ちよくお通じがあるように食生活に気をつけましょう。」と、話しています。まさに、今ミルキーは、食べることも出すこともままならない状態なのです。具合の悪さを言葉で訴えることもできず、ただひたすら痩せていくミルキーは、去年の暮れに96歳で亡くなった祖母とだぶってみえます。最後まで懸命に命の炎を燃やし続ける姿は、皆同じだと……。

 

掲載:「月刊公民館」(全国公民館連合館)2006年10月号