心のバリアフリーをめざして

 先日、東京台東区の教会で「心のバリアフリーをめざして」という講演をしました。障がいのある人もない人も、みんなが一緒にいることで理解が生まれる、理解しあえれば、障がいが障がいでなくなるという趣旨の講演です。私がそう考えるきっかけになった、2000年10月に行われた「彩の国ふれあいコンサート」のビデオもご覧いただきました。障がいのある人も、大人も子どもも一緒に歌ったり踊ったりしたコンサートです。この司会をするために、NHKの鈴木健二アナウンサーと埼玉県内のたくさんの施設を回り、手話コーラスなどの練習に参加しました。重い障がいのある方達に挨拶しても反応がないので戸惑っていたら、鈴木健二さんが「相手が受け入れてくれなかったらどうしようと悩む前に、自分から『よろしく!』と言うこと、そして、この人にはできないという先入観を捨てることが大事だ」と教えてくださいました。ビデオを見ていたら、あの時に出会った方達の顔が次々と浮かんできました。歌や演奏はできないけれど、指揮は大好きという少年がいました。コンサート当日は蝶ネクタイを締めて先生の横に並んでタクトを振っていました。カッコ良かったなぁ!ドラムを担当したらピカイチな男性、脳性麻痺だけれど作詞が得意な青年、筋ジストロフィーでハンドベルを持てなくなってしまった方……。たくさんの素敵な出会いがありました。

 講演後、教会が用意してくれたお茶をいただきながら、皆様の感想を伺いました。ご家族に障がい者がいることや、今自分は大変な状況にあるけれど、講演を聴いて前向きに生きようと思ったという方、また亡きご主人のことを語ってくれた女性もいました。脳梗塞で倒れてしまったご主人の命を救うために手術をお願いしたら、ご主人の額がへこんでしまいお化けのようになってしまったので、なるべく他人に会わせないようにしていた。でも、つまらなそうにしているご主人を見て、思い切って外に連れ出し近所の方々にご紹介したら、ご主人の表情が変わった、明るくなったという体験を話してくださいました。障がいがあるからといって引きこもっていないで、周りと関わりを持って生きることが大事なのですね。近くのお寺のご住職の奥様が「仏教だキリスト教だと、私たちも垣根を作らないようにしないとね!」と言うと、拍手がおきました。

 人と人との間に垣根を作らないようにし、心を通わせることによって、みんなが暮らしやすい社会に近づいていくことを確信しました。

掲載:「月刊公民館」(全国公民館連合館)2016年12月号